2015年8月6日木曜日

なにがそうさせている ビジネス編4

「店は人が創っている」

売っているのは人間の魅力である、と言いましたが、これは単純に人間性が良ければ、という話ではありません。
それならば、いい人が集まれば上手くいくじゃないかということになってしまいます。
もちろん、職場の雰囲気が良好になれば、作業効率も生産性も上がることでしょう。

しかし、問題となるのはそこではなく、仕事のシステム上に不具合がないかを洗い出すことから始めなければなりません。つまり、仕事のやり方、慣習や決まり事の中に、見落としているものはないか、ということです。
仕事を円滑に進めるためには、手順が必要です。やみくもに思い付いた事から作業するということはありません。
どこの職場でも朝から決められた手順で仕事を進めていくはずです。

さて、ではその手順を作ったのは誰でしょう。
それは、まぎれもなく人が作ったはずです。
また、その職場にあるルールなども、誰かが作ったものです。
そういう所に、疑問を感じたことはありませんか?
それとも、これは決まりだから何も考えずにそのとおりやっていればいいんだ、と考えますか?
または、ルールにないから、そこはやらなくてもいい、と思っていたりしますか?

この手順やルールをどう作るかで、仕事の流れが変わっていきます。
例えば、「今日から荷物の入った段ポールは通路に置かない」とルールを決めれば、店内の雰囲気は確実に変わります。品出しの途中だから、しばらく置いといてもいいだろう、なんて思ってそのままにしてしまったり。でもそれはお客さんにとっては邪魔なだけです。自分たちの作業がやりやすいからといって、お客さんに不都合を与えるようなことをしていては、売上げには繋がらないのです。

この手順やルールで、本当にお客さんの為になっているか、言い換えればそれをやっていることがお客さんの購買意欲に繋がるものなのかどうか、それを精査する必要があると言えます。
手順やルールというのは、一度作ってしまうと、なかなか変えられません。しかも長年それを継続していると、それが当たり前となって、変えることはいけないことのように思われたりします。
本来、何かの目的をもってそのルールは決められたはずなのに、ルール自体を守ることが主体となって、本来の目的からはズレていることに意識が向かない。そういう例はいくつもあります。

人間は本能的に、同じ事を繰り返す方が楽であるといった意識を持っています。
同じ状態であることは安定している事なので、それは自分にとって心地よい状態であるからです。
しかし、万物は常に変化しています。一瞬たりとも同じ状態であることはないのです。
ほんの些細なことから、大きなことまで、人は変化の中で生きています。本当は日々その変化に対応しながら生きているはずなのに、そこを意識しようとはしません。
ひとつには、変化をすることを恐れる気持ちがあるからです。変わるということは、今までと違うこと、つまり分からないことが起こる、と捉えます。分からないから恐い、しかし変化していくのは必然です。

必要なのは変わる勇気を持つことです。
変化に対応し、変わる事を躊躇しない気持ちと行動力。
その意識を持ったなら、お店は変わります。それは人が変わったからです。

今までやってきたことを止めるというのは、なかなか出来ません。
それが成功体験であれば、余計に難しいことでしょう。
「こうやって上手くいってきたのだから、まだ大丈夫だ」
そんな気持ちに支配され、なにも出来ずに時間がだけが経ってしまうのです。

売上げが低迷して、今の状況を仮にゼロとしたとします。
何もしなければ、ゼロのままです。いや、むしろ変化するのが自然であるなら、マイナスになっていくと言えます。
実は、常に何らかの行動をしていることでゼロベースが保てているのです。

川の上流に向かって船を漕いでいるとイメージしてみてください。
流れが緩やかなときは、今の力で漕いでいても船は上流に向かって進んでいきます。
ところが、流れが急になってきたら、同じ力では前に進めません。そこに留まることでも大変になります。
それでも上流に進むには、どうしたらよいか。
もっと大きな力で船を漕ぐためエンジンを取り付ける、はたまた、一旦岸に向かって進み、陸路を遡る。
いずれにしても、今までのやり方では先に進めないということを自覚しないといけないのです。
このような危機的状況になったときは、特に大きな変化が求められます。
だから余計に変わることが難しいと感じてしまいます。
本当なら、そうなる前の兆候が現れた時点で、次の行動に移っていれば、それほど苦労することなく変化に対応できたはずなのです。
その時に「まあ何とかなるだろう」とか「まだ大丈夫」といった今までの慣習を優先させてしまうと、より困難な決断を迫られる状況になってしまいます。
そしてその決断が出来ずにいると、いずれ疲れ切ってしまい船は流されてしまうことになります。

こういった事は、ビジネスに限ったことではありません。
私生活の中で、似たような状況はいくらでもあるはずです。
そんなときに、自分ははたしてどの様な行動をしているのか、自己確認しなければなりません。

周りの変化に対応し、今までのやり方を恐れずに変えていく力を持つ人になる。
そういう資質を持った人間に、人は魅力を感じるのです。
過去にこだわり、先を見ないような人は誰も支持しません。

見えない未来に目を向け、新しいものを作り出していく、そういう人が作ったお店ならば、お客からも魅力的に映るはずなのです。


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