その症状が本人にしか分からないものだったりするので、周りの人が想像出来ないからと言われています。
具体的な症状は
- 妄想
- 幻覚、幻聴(幻声)
- 解体した会話
- 支離滅裂な行動、緊張病性行動
- 感情の平板化、思考の貧困、意欲の欠如
統合失調症は、主に次のように類型されます。
- 妄想型:妄想や幻覚(特に幻聴)を主な症状とする。20代後半以降に発症することが多い。
- 解体型(破瓜型):解体した会話、行動、周囲に対する無関心、感情の起伏の乏しさが主な症状。思春期に緩やかに発症。
- 緊張型:極度の興奮、他動、昏迷を繰り返す。同じ姿勢を取り続ける、他人からの言動を意味なく繰り返す。人からされた姿勢を保ち続ける(カタレプシー)などが主な症状。20歳前後に急性に発症することが多い。
治療期間が短いほど、回復の予後が良いとされます。
症状の繰り返しが長引くと、感情の麻痺や意欲減退、思考弛緩などといった機能低下を繰り返し、徐々に機能がレベルダウンしていくことが検証されています。それによって他の障害も併発するということも危惧されます。
1990 年代に米国で開発され,2001 年より日本に導入されたバーチャルハルシネーション(virtual hallucination program:幻覚疑似体験装置(VH)というものがあり、患者の症状をリアルに疑似体験できるものがあります。
当事者に関わる周りの人が、それを体験し、どのような症状に悩まされているのかを理解することで、治療の助けとなります。
周りの人間がどれだけサポートしてあげられるかが、重要になります。
つい最近、今年の5月に交通事故で亡くなった、アメリカの数学者のジョン・ナッシュさんは、この統合失調症に悩まされながらも「ゲーム理論」を構築発展させノーベル経済学賞を受賞しました。
彼の半生が2001年に映画「ビューティフル・マインド」として公開されました。
映画では、障害者から見えている現実、という形で映像表現されているので、当人の意識を追体験出来るしくみになっています。見ていると、どれが実際の現象なのか、どこからが幻覚なのかが、分からなくなる時があります。しかし、実際は幻覚であっても本人にとっては現実と区別がつかないわけです。
映画では幻想の一部(人物)が現実的に整合性が付かないことに気付き(年を取らない)区別をしていく、というように描かれていますが、当事者でなければ、なかなか分からない感覚かもしれません。
それでも、障害を理解するためには、この映画も役立つことと思います。
幻聴(幻声)は、不安、孤立、過労、不眠の4条件によって引き起こされます。
この4条件が重なると、人は幻声を体験するようです。
過酷な条件が重なってしまうと、誰もが幻聴体験をする可能性はある、ということです。
例えば雪山で遭難した、などの体験をした人が、「天の声が聞こえた」といった証言をする話を聞きます。
それなどは、まさにこの4条件が当てはまる状態であったとも言えます。
幻声については、自分の考えに由来があるとされています。
次の3つのパターンがあります。
多面的な思考の一側面:人は同時に色々な事を考えています。一つの事を多方面から分析することもします。
自己否定的思考:自分はダメだ、いやそんなことはない、というような問答は経験あるはずです。
他者の言動の想像:あの人はこう思っているに違いないという考えが、現実の言葉として捉えます。
誰もが、普段過ごしている場面で考えていることですよね。
洋服を買いにいって選んでいるとき、こころの中ではいろいろと会話がされていませんか。
「あ、これいい。欲しな」「ちょっとまて、結構な値段だぞ」「これを着たら褒めてもらえるかな」「ん〜ちょっと派手すぎない?」
「今月ピンチなのに、そんな高いの買っていいのか」「ここんとこ忙しくて大変だったから、自分へのご褒美だ」
こんんが考えが次々と浮かんでいたりするはずです。
これが全部独立した会話として聞こえてきたら、うるさくて仕方ありません。
さらには、店員の声として「ちょっとあの人、似合わない服買おうとしてる〜」「ホントに買う気あるのかしら」「いつまで選んでるの、早く決めてよね」
自分がそう思い込んでる考えが、あたかも本当に話しているように聞こえてくるなんて、これは本人にしてみたら恐怖です。
普段から、不安や孤立といった状態にいると、こういったネガティブな考えに支配されてしまいます。本人が思っているほど、周りの人はなんとも思っていないという事実を認知できていれば、マイナス感情に囚われずにいられます。
日常の中でのコミュニケーションがうまくいっていないと、こういった障害に発展してしまう可能性があることを認識する必要があるでしょう。
自分も含め、周りの人の中にも、どこかコミュニケーションに問題がありそうな気配があったなら、早期に解消していくことが、このような精神障害を防ぐ手立てだと思います。
そして、あまりネガティブな考えに囚われないようにすることが、こころの健康を得るための秘訣です。