2015年8月20日木曜日

なにがそうさせている ビジネス編12

「リーダーの資質」

数人の集合体によって何らかの行動をする場合、そこにリーダーが必要になります。
ビジネスで言えば、プロジェクトチームのリーダー、会社の部署であったら課長、部長という立場、または店主と従業員という関係もそういえます。
部下の指導、従業員の指導ということで頭を悩ませている人が、案外といるかもしれません。

しかし、この指導という言葉のニュアンスに、学校の先生や教官による指導といった感じがしてしまうところにちょっと違和感を覚えます。どうしても上から目線というか、言う通りにするものである、という感じでしょうか。
同じように、上司と部下、または経営者と従業員という立場では、使う者と使われる者、といった上下関係で話が進んでしまうように感じます。
コミュニケーションの話でも触れましたが、円滑な人間関係を築くことで最高のパフォーマンスを引き出すには、まずお互いが対等であることが前提であると言いました。
この場合も、リーダーとは一つの役割であって、上下関係を意味するものではありません。

リーダーの役割とは、グループの進む方向性を決め、メンバーを導くことにあります。
さらに、そのグループで達成する目標に向けて。それぞれが最高のパフォーマンスを発揮出来る環境を整えることもリーダーの役割です。
そうなると、リーダーの資質としては、グループの皆が自主的についてくるような人間性が必要となります。
個人が最高のパフォーマンスを発揮するのは、それに自主的に向き合っているときです。人から言われてやらされているような状況では、パフォーマンスは上がりません。
そんなことは誰でも身に覚えがあるでしょう。
親に言われて、仕方なくやったとか、先生に叱られて、いやいや補習をやった、とか。
特に立場が上の人から押しつけられた感じでやったことで意欲的に行動したことはないと思います。
ですから、無理矢理「俺についてこい」という事がリーダーであるとは言えません。

経営者や上司という立場を、上からのものとして部下や従業員に接してはいないでしょうか。

その前に、まず明確にしておきたいのが、業務の内容についてです。
システムとしてプログラムされた手順を行うというのは、作業です。
これは誰でもその通りやれば、一定の結果が出るという機械化されたものといえます。
一方、仕事という意味では、個人の能力によって成果を上げられる部分といえます。

作業の部分については、手順を教えるということなので、指導と言って良いでしょう。
誰もが同じ手順を覚えなければ、システムとして成り立ちません。ここでは全ての人に一定のパフォーマンスが求められます。個別にばらつきがあってはならないので、皆が同じように出来るために指導するといえます。
では、仕事の部分についてはどうかというと、ここは個人の能力を見きわめ、それぞれの人がいかに意欲的に仕事に取り組み、生産力をアップさせられるようになるか導いていくことが求められます。画一的なやり方を指導といって押しつける部分ではありません。
この作業と仕事という部分を明確に区別して部下や従業員に接しなければなりません。
仕事の成果は人それぞれの能力によって、やり方は違います。
同じようにやっても、上手くいく人とそうでない人とが出てきます。自分なりのやり方を見つけることで、仕事の成果は生まれてくるのです。
それなのに、上司は自分のやり方を押しつけてくるのです。上司はそれで成果を上げてきた自負がありますから、そのやり方が正しい事であるという自信を持って”指導”してくるわけです。
さて、ここにそもそも指導が成り立たないことがお解りでしょうか。
この作業と仕事を一緒くたにして部下に同じ対応をしてしまうことで、仕事の部分に意欲を持てない状況が生まれてしまいます。

作業については指導、仕事については導き。

リーダーはここを明確に区別して相手と向き合わないと、部下がついてきてくれる関係性を築けません。
さらに、パフォーマンスの向上の為には、それぞれが伸び伸びとした精神状態である必要があります。
人は他人からの否定や批判によって、萎縮してしまいます。そのような状態では考え方も硬直してしまい、良いアイデアも出てこなくなってしまいます。
誰もが自分の発言に対しての周りの目線というものが気になっています。
「こういうことを言ったら、どう思われるだろう」「余計な事は言わない方がいい」「言い出しっぺが責任とらされちゃたまらない」「どうせ言っても採用されない」
こういった思惑が蔓延して、とても静かな会議になったりしませんか。
これでは個人の能力が発揮される場がありません。皆それぞれ発想が違うからこそ、新しいイノベーションが生まれるのに、ここでも変化に対応することを恐れる意識が働いています。
いかに皆と違う事を言うのが恐いことであるかの証明と言えます。

リーダーは、その変化を怖がることはないと示してあげなければなりません。そこに安心感を与えることで、メンバーは自由に発言ができるのです。
メンバーが自由に伸び伸びと仕事が出来る環境を作るというのが、リーダーの役割です。
個別に違う意識の集まりであるメンバーの意見を受け入れ、目標となるものへの最善策を導きだすことが、リーダーの資質なのです。
その資質を培うには、他者との違いについて認められるよう、自分自身のもつ理念や概念を把握することです。
それには自身の内面に向かって問いかける必要があります。
それが出来ると、変化への恐怖というものも無くなっていきます。
恐怖が無くなれば、率先して変化の先頭に立ち、メンバーに勇気と安心感を与え、先に進むことが出来るのです。そういうリーダーに人はついていくのです。




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