2015年7月24日金曜日

こころの健康と臨床 睡眠障害

暑い日が続くと、夜眠れなくなりませんか?
耐えきれずエアコンを付けて寝ると、今度は身体が冷えて、だるくなっちゃったりして。

睡眠は大切です。
気分障害の項でも触れましたが、睡眠不足は精神的な疾患のきっかけにも繋がる要因のひとつです。
なかなか眠れずに困っているという人は、あんがい多いのかもしれません。
睡眠についての正しい知識を得ることで、睡眠障害にならない予防と対処方法を身につけましょう。

睡眠には2種類があることは、一般的にも知られていることと思います。
  • REM睡眠 身体の休息。比較的眠りは浅く、呼吸も浅い状態です。
    夢を見たり、金縛りにあうのもこの時です。筋肉の緊張は緩んで力が入らないので、意識はあるのに身体が動かないと感じています。
    この時脳は主に記憶の再編と整理を行っています。脳の代謝は活発で目覚めへの準備を行います。
  • Non-REM睡眠 脳の休息比較的深い眠りの状態。
    4段階で深い眠りについていきます。身体は完全には弛緩していない状態です。
    主に大脳の休養を行っています。活発に働いている脳を冷却し、オーバーヒートを防ぎます。この時成長ホルモンが分泌され、子どもであれば、身体の成長を促し、大人は体組織の回復(大事なお肌の回復)や損傷箇所の回復に繋がります。
また、この睡眠によって、脳が得た情報が整理され(REM睡眠)記憶として定着される(Non-REM睡眠)働きがあるとされます。

このように、睡眠には重要な働きがあることがわかります。
寝る子は育つ、と言いますが、まさにしっかり寝ることで成長ホルモンの分泌を促す効果があるからです。お肌にとっても睡眠不足は大敵。でも、ただ眠れば良いということではないですね。ちゃんとNon-REM睡眠になってないと、何時間眠ったからといって、重要な成長ホルモンが分泌されていないという事になってしまいます。

睡眠時間は年齢事に変化してきます。高齢になると睡眠時間は減る傾向にあります。
これも睡眠のメカニズムを見ると、納得するものがありますね。
子どもの頃は、なんでも刺激的なので仕入れる情報量が膨大です。当然、情報の整理にも時間が掛かるはずですし、身体も大きくしなければならないので、一生懸命眠らないといけないわけです。
大人になるにしたがって、それほど新しい情報を得ることも少なくなってくるし、肉体的にも成熟しきっているので、それほど回復させる必要もなくなってくる、ということで睡眠時間も短くて済むのでしょう。
そう考えると案外、大人になっても眠れるっていいことなんじゃないのかな?

睡眠による脳の働きを知ると、勉強の一夜漬けに効果のないことも分かりますね。
記憶の整理、定着は睡眠中に行われるので、寝た方がいいのです。睡眠不足で試験に臨むなど、身体も脳も疲れたままで、記憶も整理されずに試験を受けることになります。
非効率極まりないですね。
と言いながら、自分もやってたなぁって思うと、その当時の無知な自分に教えてやりたい気分です。

睡眠障害に至るきっかけには、眠りに対しての過度な精神的反応もあります。
本来身体に備わっている体内時計と、就寝の時間がズレていくことで眠れなくなったりするのは良くあることです。また、睡眠時間も人によって個人差があるので、必ずしも8時間眠れないのは不眠症になった、と思い込む必要もありません。
要は、目覚めた時にすっきりとした状態であれば、眠りは十分足りているのです。
殊更眠れていないことを意識すると、「眠らなければならない」という思いに集中することで余計に眠れなくなるというスパイラルに陥ります。
精神的障害というのは、共通してこの負のスパイラルが何処かに生じているのです。

 睡眠障害にもいくつかの種類があります。
  • 不眠症:十分に眠れない
  • 慨日リズム障害:睡眠の体内リズムがずれてしまった状態
  • 過眠症:うつ症状やナルコレプシー(居眠り、情動脱力発作)
  • 睡眠随伴症 :夢中遊行(夢遊病)
    他にも睡眠時無呼吸症候群など
このように、眠れないだけではなく、過眠や夢遊病なども含まれた、日常生活の中で睡眠に伴うことによって引き起こされる障害全般を意味します。

それぞれの障害によって治療法は異なりますが、まず不眠症に対して認知行動療法の対処を解説していきます。
まず、不眠に陥っている過程において、その原因となるものに、睡眠を阻害する物事の捉え方(思考・認知)やそれに基づく行動がないかを探ります。
例えば、何かの心配事があって、それが頭から離れないことで眠れていなかったとします。
そのうち、眠れないことが原因で日中の仕事にミスが出たり、仕事中に集中できなかったりすると、眠れないことに焦りを感じてしまいます。
今度は眠らないといけないという脅迫観念に囚われて、眠ろうとすると「また眠れないんじゃないか」「早く寝ないとまた明日が辛い」といった考えで一杯になり、結局眠れなかったという繰り返しにはまっていきます。
原因は最初の心配事にあるという事を理解し、なぜ自分が不眠に陥っていったのかを分析することで、心配事と不眠とは別の問題であると認識(認知)できれば、不眠の解決に繋がります。
こういった誤った思考の捉え方、考え方を再認識していくことで精神障害の治療をしていくのが認知行動療法です。
もちろん、肉体的疾患に結びつくような生活習慣の改善は必要です。考え方を変えただけでは変わりません。むしろ、考え方が変わったから行動も変わったというのが本当で、行動が変わらないのは、実は考え方も変わっていないと言えます。
よく分かった、理解した、と言いますが、行動に表れないうちは理解したことにはなっていないんだということも認知したいところですね。

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