2015年7月20日月曜日

こころの健康と臨床 臨床心理学

こころの健康は、社会的に大きな問題となっています。

非常にストレスの多い時代となっているにもかかわらず、それをどの様に処理していけばよいのかを誰も教わることなく社会生活を過ごしています。

そもそも、このストレスとはどのように私達の肉体に影響を及ぼしているのか?
その事を理解していかないと、どう対処していけばよいのかが分からない。

ストレスとは何か?
 刺激により引起される非特異的生体反応。生体に加わる力をストレッサー,それによって起る生体の反応をストレスという。 1938年にストレス理論を提示したカナダ生化学者,H.セリエによると,「ストレスとは,どんな質問に対しても答えようとする身体の反応」である。
                本文は出典元の記述の一部を掲載しています。
               <ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説より引用>
というように、簡単に言うと外部からの刺激による肉体の反応ということなんですね。

身体に刺激を与える(負荷をかける)というのは、運動と言えるでしょう。 とにかく身体を動かす事は負荷を掛けることですから、当然「疲れた〜」となります。
疲れたら休む。ゆっくり眠れば体力も回復。
普通ならそれで済むわけですが、過度な運動を続けていくと、ちゃんと回復しないまま更に負荷をかけていくことになるわけです。
すると、どうなるか。
これまた当然、身体を壊す。という事態になりますね。

そんなの当たり前じゃない!

そう。みんなそう思っているでしょ。

「そんなの分かってるよ。でもやらなきゃいけないから頑張ってるんじゃない。 疲れたなんて言ってられないんだよ!」
でも、身体を壊したら元も子もないじゃあないですか。

身体が疲れたというのは、分かりやすいですよね。では、精神が疲れるって事をどれだけ意識していますか?
精神だって同じ肉体なんです。疲れて当たり前。むしろこの精神的疲労の方が肉体に与える影響については重要であると言えます。
純粋に肉体疲労だけなら休めば回復します。でも、精神的に辛かったり、悩んでいたりしたら、何時までも疲れがとれない、という経験はありませんか?
逆に、とても楽しいことをしながら身体を使っているという時には、むしろ心地よい疲れだなあ、なんて思ったことはありませんか?

精神と肉体は連動しているのです。気の持ちようだ、なんて言い方もされていますよね。
でも、本当にそのとおりで、精神的なストレスから肉体への影響によって病気が発症してしまうという事を、案外軽視されてはいないでしょうか?

それは、精神(こころ)についての正しい理解が成されていないことだと思います。
教育では肉体の健康促進として体育の授業はありますが、精神の健康についての授業ってのは聞いたことがありません。
目に見える部分についてのアプローチはあるけれど、見えない部分については疎かにされているという気がします。むしろこの見えない部分の方がより重要であり、見えているものだけでは解決しない部分に意識を向けていかなければならない時代になったのでは、という気がしています。

一昔前でしたら精神を病んでいるという言い方に、ちょっと恐いような印象を持たれていたと思います。実際にそういう事は世間体が悪いから 人前では言えないとか、仮にそういう人がいたらなるべく外に出さないとか、そういう社会的な認知があったと思います。
しかし、最近では誰でも精神的な疾患が起こりうることはあることだし、”うつ”という言葉も社会的な認知度が増したという感じで、昔よりは理解度は上がっていることでしょう。
それでも、まだまだ正しい理解という意味では、非常に不十分と言えます。

最近は心理学に関する簡便な本も多数出版されていて、大分身近なものとなっているように思います。だれもが関心をもって知識をえられることは良いことだと思いますが、反面みんなそんなに悩んでるのかなって思う部分もありますね。

心理学というのはもともと哲学が起因にあって発展してきました。それが医学と結びつくことから精神医学の発展となりますが、脳機能の科学的解明によるところや、精神疾患の臨床データ分析による診断基準の確立が進んだのはつい最近のことになります。
現時点でもまだ解明されていない事項はあって、その複雑、難解さが一般的理解を遠ざけている要因になっていると考えられます。学術的な解明については、これから更に新たな発見がされることと思います。

そうは言っても、現実に悩み苦しんでいる人が今そこに居るわけですから、そこを何とかしていかなければならないわけで、そんな症状を改善する一つの療法として認知行動療法があります。

認知行動療法 CBT(Cognitive Behavior Therapy)
 「クライアントとの話し合いで、新しいものの見方や考え方、取り組み方を見つけて、クライアント自身が思考(認知)や行動のレパートリーを増やすことで、問題解決の方法に導く支援をする治療法」

精神障害に至る過程には、その人のこころの中にあるひとつの概念に囚われてしまっている事が要因としてあります。いわゆる、過度な思い込み、であったり、過剰な拘りであったり、他人から見れば何でそんなことで、と思うような事が、本人にとってはとても耐えられない状態であったりするわけです。
ではなぜそうなっているのか。
こころの仕組みを知る事で、自分自身の認知(物事の捉え方)を理解すれば、そういう苦しい状態から解放されます。そもそも自分でなぜそうなっているか分からないから、冷静な判断が出来ず、過剰に意識してしまい感情が暴走して、興奮状態になり、それを意識することで更に感情に拍車を掛けるというスパイラルに陥る。
それが高じるとパニックに陥り、障害として見なされる。
そういう精神の構造もきちんと理解していれば、自分のこころの癖として認知できるわけです。
本来人の考え方は多種多様なわけで、色んな見方があります。全てのものがそれぞれ違っているのが自然であり、それがこの世の中なわけなんです。自分だけの考えに固執することで他の在り方を拒絶するという生き方そのものが自然に反すると考えたなら、もう少し楽になれるんじゃないかと思います。

さて、こころの健康に関しては更に具体的な精神障害について 、認知行動療法のアプローチについてを話していきたいと思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿