障害の状態を分類して定義したものですが、主にDSM-Ⅳ-TR(Diagnostical Statistical Manual of Mental Disorders Ⅳ)によって定義されているところから、気分障害(うつ病性障害、双極性障害など)についてを解説します。
まず、気分障害とは?
DSMで分類された定義によると
- 大うつ病性障害(うつ病)
- 気分変調性障害
- 二重うつ病
- 双極性障害(躁うつ病)
他
では、うつ病と診断される状態についてDSMが定義するところは、
- 抑うつ気分
- 興味または喜びの喪失
- 食欲体重の減少/増加
- 不眠のまたは過眠
- 精神運動性の焦燥・停止
- 易疲労感、気力減退
- 無価値、罪責感
- 思考・集中低下、決断困難
- 自殺念慮、自殺企図
多くは朝方が一番つらく、男性は5%〜12%、女性で10%〜25%ぐらいが発症するとされています。
うつ病の行き着く先で恐いのは、自殺願望に到達してしまうことです。
なので、うつの症状を早期発見して適切な処置をすることが重要です。本人が気付かない場合も周囲の人が気付いてあげることで、重篤な状態を回避できます。
次のような、うつになりそうなサインを覚えておくと役に立ちます。
「知情意&身体」の症状
- 思考(知):考えがまとまらない、決められない、理解力が落ちた、堂々巡り、自分を責める
- 気分(情):憂うつ、気が晴れない、もの悲しい、不安、イライラ、感情的
- 意欲(意):何をするのもおっくう、興味をもてない、根気がない
- 身体症状:不眠、食欲低下、性欲減退、頭が重い、倦怠感、吐き気、めまい
「彼、ちょっとミスが多くなってない」「なんかここんとこ過剰な反応するんだよね〜」「最近つきあい悪くない?」「 なんかお昼も食べないけどダイエットでも始めた?」
「ちょっとなんかやつれてない」
こんなふうに、「なんか今までと違うなぁ、ちょっとおかしいぞ」と思えるような行動になってきたら、うつの初期症状を疑ってみると良いかもしれません。
そうなったとき、どうやって治していくかですが、まずはとにかく休むこと。
それと早めに薬を飲むこと。早いうちに服用すれば短期間で済むはずです。
周りの人のサポートでやってはいけないのが、「頑張れば大丈夫だよ」という激励や「どっか旅行でも行って気張らしするといいよ」といった励ましです。
ついつい言ってしまいがちですが、これはまずいことなので注意しましょう。
これを言われた本人はどういう状態になるかを理解する必要があります。
「頑張れ、おまえなら出来る!」
→「もうせいいっぱい頑張ってきてこうなってるのに、これ以上なにをどう頑張ったいいんだ、もう頑張れない自分はダメなんだ」
と更に自責感と絶望感を募らせることになります。
「気晴らしに旅行に行ったら?」
→「やってみたけど、楽しめなかった。なんだか疲れただけだったなあ、もう何やっても疲れちゃうし、何も出来ないや」
という疲労感と無力感が増大されることになります。
良かれと思って声を掛けているのに、本人にとってはより自分を追い込む言葉になってしまって、苦しんでしまうのです。
それから、うつの回復状態ですが、一気に治るということではありません。
良い状態、悪い状態を繰り返して、だんだんと良くなっていくという事を理解しておきましょう。なので、長期休養から復帰して治ったと捉えられがちですが、社会復帰出来るまで回復したということで、完治したというものではないということです。
ありがちなのは、復帰してもまた直ぐ調子が悪くなって休むと、「なんだちゃんと治ってないのか、しっかり治してから出てこいよ」みたいな空気になること。
そもそも、その職場の状態でうつになったのだから、戻ってきても何かうつとなる要因に触れると、また症状がでる可能性はあるはずです。それを克服するまでは、マラソンのような長期リハビリが必要になるということを理解しておきましょう。
うつ病になる人と思われがちな性格に「精神的に弱い」「頑張れない」「怠け者」といった人のイメージがありませんか?実際はこの逆の人の場合も多いのです。
だから余計に、あんなに頑張って仕事も出来ていたのに、といったイメージを持たれていて、つい激励や励ましをしてしまうということもあると思います。
完璧主義の人や協調性のある人、頑張り屋さんなども、それらがエスカレートしていって裏目に出てしまい発症するという事もあります。
例えば、協調性があるのは良いことですが、本人にとっては頼まれたら断れない、自己主張が出来ない、対人関係の葛藤を抱え込んでしまう、など負の要素も持っているという場合があります。それが抑制されて耐えきれなくなるのが原因でうつになる、といったような、一人一人の特性を理解して、どうなるとうつの予備症状に繋がるかを把握していく必要があります。
このように、自分の持つ性質についても自己理解をしていくことで、どうしたら裏目にでないか、その状態になったときに回避する技術(アサーション)を身につけましょう。
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