2015年7月18日土曜日

なんだか辛くはないですか?

病んでいるなあ。

なんだか最近の世の中、そう思う事があるんですけど、昔からそんなだったっけ?
本当は昔だってそういう事はあったんだろうけれど、ここまで表面化してなかっただけなのかもしれないですね。

何の話って、精神的な苦痛や苦悩を抱えている人達が多くなってませんか?
自分の感覚では、なんとなく20年前あたりから、周りにも気分障害的な人が見受けられるようになった気がします。

その頃自分は書店で働いてました。
書店にいると、世の中で今何が注目されているのか、どんなことが起こっているのかが見えてきます。週刊誌や月刊誌の表紙を見れば、今話題になっていることが見出しとなって飛び込んできますし、売れている本はその時の流行を表しています。
本は月曜日から土曜日まで、毎日新刊が入荷されます。
実に毎日100冊以上の新刊が発行されているんですが、知ってました?
その日に発行された本のリストが新刊の入った段ボール箱に入ってくるのですが、A4サイズの両面にびっしり、日によってはそれが2枚、3枚だったりしました。
その中の一部しか、書店には届いていないんです。
そのリストの書名を見ながら、入荷してない本で”これは”と思うようなタイトルの本を発注するのが、毎朝の仕事でした。

売れる本は沢山入ってくるんじゃないの?
そう思うかもしれませんが、全く逆。
そもそも始めから話題になってるような本は、発売前から書店の争奪戦が始まって、いかに早く注文を取り付けるかが勝負になります。 そこには大手書店の力関係というバイアスがかかっているので、手をこまねいているとごっそり持って行かれて、売れると分かっている本なのに発売当日の入荷は2冊!
なんてことになってしまうのです。

そうなると、弱小書店としては、まだ誰も気付いていないこれから来るであろうベストセラーをいち早く見つけ出して、何処も注文しないうちに先に確約してしまえっ!という考えに行き着くわけです。
だからもう、世の中の事にアンテナをビンビンに張りまくり、これからどんなブームがくるか常に察知するような体質になっていました。
まだ話題にもなってないようなコミックを取り上げて、後になってそれがTV化されたりすると、してやったりの気分です。
書籍の場合はちょっと難しくて、3ヶ月以内に売れてくれないと、買い取りになるというリスクがありました。ある本など、出版社の営業が新刊の注文取りに来た時に、ピンときて大量発注しました。著者は外人で初翻訳の上下巻ものだから、誰も知らないわけで、案の定ぜんぜん売れてくれない。もうレジ前の一等地にドーンと積み上げてるのに、ホントに売れないんです。3ヶ月経ってもまだ数冊しか売れない。
もう返品しないと全額支払いというプレッシャーが来る中、これはもう意地でも置いておくぞ、と売り場の一等地を不当占拠したままでねばっていたら、それから半年後にTV番組に取り上げられて、結果追加注文というホッとした出来事もありました。
先取りしすぎも商売にならないという学びでしたね。

なんだか話が脱線しましたが、そんなふうに毎日入荷する本を眺めていると、ある時期から”こころ”に関する本が目に付くようになってきました。タイトルに”うつ”という文字が入っている本も目立ってきて、それが専門書ではなく読み物やエッセイといったジャンルに多くなってきたのです。
たぶんそれが20年前あたり、1995年頃からではないかと感じているわけです。

振り返ってみても1995年 というのは、阪神大震災、地下鉄サリン事件という当時史上最大の衝撃的な出来事があった年です。また一方ではグーテンベルグ以来の情報革命とも言われたインターネット元年とされる年でもありました。

では、それ以前と以後ではうつ病患者の数はどれほど違うのか?
と思ってちょっと調べたら、厚生労働省の調査レポートに気分障害の年度推移があったのですが、平成8年(1996年)からのデータなんですね。どうやら3年ごとに調査しているという事らしいですが、平成11年(1999年)までは43.3万人-44.1万人でしたが、平成14年(2002年)には71.1万人、その後増え続け平成20年(2008年)には100万人を超えています。
なんとなく感覚として思っていた事は、ちゃんと数字にも表れていたわけです。
1996年からのデータというのも、その頃から本格的な調査が始まったということなのかは分かりませんが、やはり1995年を区切りにというふうにも見えます。

それ以前というのは、やはり気分障害というもの自体の捉え方が稀薄だったと思います。
”うつ”というのも気の持ちようだと一蹴されてしまったような社会感覚ではなかったでしょうか。ヤル気がもてはやされた時代とも言えますか。
たぶん、同じように苦しんでいる人達はもっといたのでしょうが、それが疾患として認められていなかったんじゃないかという気がします。
逆に今は些細なことでも障害なんじゃないかと過敏になっているところもありそうですが、いずれにせよ心理的な事のもっと正しい知識を得る必要があると感じています。

障害に苦しむ人の理解も大切ですが、自分自身の心理を知ることもまた、自己の悩みや苦しみを解放する手段として有効なことです。
こころを知るというのは、なかなか複雑で困難な作業でもありますが、恐れず克服していく事でとても穏やかな暮らしを手に入れられます。

20年前の頃から、自分自身が色々と悩み、考え、経験した中で得られた気づきから、何かヒントを得て頂けたら嬉しく思います。

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