2015年9月4日金曜日

なにがそうさせている 生き方編4「無意識の行動」

「無意識の行動」

誰にでも何かしらの癖ってありますよね。
貧乏揺すりをしたり、爪を噛んだり。

そういうのって、自分でも気付かずにやっていて、人に指摘されるまで分からなかったりします。
癖になってることは、無意識で行動しています。
目で見て分かるような行動に表れる癖なら、指摘されたり、自分で気付くこともあるでしょう。よほどその癖が恥ずかしいことだったりしなければ、特に気にしたりはしないかもしれません。しかし、さすがにこれは恥ずかしいとか、変に思われるのが嫌だとか、そういう強い思いがあるなら、なんとか癖は治そうと努力するでしょう。
ただいつも無意識でやっていることなので、少しでも気を抜いていたら気付かずにまたやっている、そういう経験はあると思います。
癖を治すことは、かなり意識していないと難しいことです。

無意識の中に刻み込まれた癖は、何か特定の状況に置かれた時に発動するという、自動行動になっています。身体は自動的に動いているわけです。
奇妙で目立った行動だったら、変な癖ということで周りからも意識されるでしょうが、普段の行動パターンというのも、それは無意識で自動行動しているのがほとんどなのです。

意識と無意識、顕在意識と潜在意識とも言いますが、脳科学ではこの割合が3%〜5%:97%〜95%であると言われています。少なくとも95%が無意識であるということになります。
つまり人は意識的に行動している部分が約5%程度で、あとの行動は無意識によって動かされているのです。

人間の脳は学習した事を記憶します。そしてそれが反復行動される事によって、無意識に刻み込んでいきます。
脳は常に新しいことを学習していかなければなりません。意識的に物事を考え、新しい状況に対応していく方策を練っているのです。日々情報は更新され、それを処理するだけでも大変な労力となります。ですので、なるべく考えなくて済むような行動パターンは無意識の領域に追いやる方が効率的なのです。
こうような脳の働きがあることで、人は常に新しい事にチャレンジしていく事ができるようになっているのです。

これは行動だけではありません。思考のパターンというのも無意識に刻まれているということです。
癖がなかなか治らないのと同様に、無意識の領域にある思考パターンも簡単には治りません。
やっかいなのは、無意識の思考というものに、本人に全く自覚がないということです。
目に見える癖ならば、その行動は変だよ、と指摘できます。それは本人も自覚できるでしょう。
しかし、その考えはおかしいよ、と言っても、なかなか受け入れてはくれません。
思考についても、そのほとんどが自動思考しているのを理解されていないのです。

そもそも癖という言い方は、何か目立った奇妙な行動であるから癖と言うのであって、ほとんどの行動は全てが癖になっている、と言えるのです。考え方にしても、その人の考え方は癖であって、何かしらの影響によって反復処理されたものがパターン化した思考として無意識に刻み込まれたものなのです。
そしてそれが個性であり、その人らしさといったもので捉えられているのです。

それまで生きて来た中で、無意識の領域に蓄積してきたものは膨大なものでしょう。そう考えると無意識が95%を占めると言われても、なんだか納得出来るように思います。
無意識からは行動パターンの信号が発せられます。この信号は95%という割合から言っても強力なものです。
絶対的支配者の命令のように、ついついそれに従ってしまいます。
理論的思考が、それはちょっと違うんじゃないの、と思っても命令は絶対です。従わざるを得ません。
意識と無意識のせめぎ合いは、どうしても無意識の方に分があるわけです。

それを変えよう、というのですから、よほど意識に強く働き掛けなければならない事が分かります。
行動の癖を治すだけでも、相当の時間がかかります。

実は自分もお箸の使い方に癖がありました。19歳ごろまではえんぴつ持ちだったのです。
それまでは、特に気にせずにいたのですが、バイトをした所で指摘されたのがきっかけで治すことにしました。
たまに出るようの癖とは違って、食事は毎日ですから、その都度箸の持ち方を意識したのですが、慣れないうちはこれがとても食べにくいのです。
始めのうちは指がつりそうになりながら食事していました。
そのうち、なんとか慣れてはきましたが、それでも全く意識せずに箸が使えるようになったと感じたのは1年後ぐらいのことです。毎日意識していても、無意識で出来るようになるまで、それだけの時間がかかったのです。
そう思うと、今までの行動を変えようとしても、そう簡単に身につくことではありません。
それでも、15年以上身体に刻み込まれた行動を1年で矯正出来たわけですから、変えようと思えば変えられるのです。

それには、意識的に行動すること、無意識を意識すること、それを継続するよう心がけることです。
やろうとしている事が意識せずに出来るようになったとき、それは身についたと言えます。


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